交通系ICをスマートフォンに入れたいとき、最初に迷うのが「Suica・PASMO・ICOCAのどれを選ぶか」と「自分のスマートフォンで使えるのか」です。2026年9月時点で3つともiPhoneとAndroidに対応していますが、発行に使うアプリ、チャージ手段、カード型からの移行可否、1台に入る枚数はサービスごとに違います。
スマートフォンで使える交通系ICは主に3つ
2026年9月時点で、スマートフォン単体で発行して使える交通系ICは、JR東日本のモバイルSuica、PASMO協議会のモバイルPASMO、JR西日本のモバイルICOCAの3つです。iPhoneではApple Payの交通系ICカードとして、Androidではおサイフケータイのしくみで使います。
Appleサポートによると、AppleウォレットにはSuica・PASMO・ICOCA・TOICAを追加でき、TOICAはICOCAとして発行されます。
Androidの入口は各サービスの公式アプリとGoogle ウォレットの2通りですが、Google ウォレットの日本向けヘルプにある電子マネーはSuica・PASMO・楽天Edy・WAON・nanacoで、2026年9月時点でICOCAは含まれていません。
利用エリアは3つとも全国相互利用サービスの枠組みに入り、ICOCA公式によるとKitaca・PASMO・Suica・manaca・TOICA・PiTaPa・はやかけん・nimoca・SUGOCAの各エリアで使えます。ただしPASMO公式は「全国とは国内すべての鉄道・バス路線を指すものではない」と注記し、ICOCA公式は「一部を除き、各エリアをまたがっての利用はできない」としています。
3サービスの比較表
次の表は2026年9月時点の各公式ページの記載に限っています。「確認できず」は明確な記述が見つからなかった項目です。
項目 | モバイルSuica | モバイルPASMO | モバイルICOCA |
iPhone | iPhone 8以降(国内のiPhone 7も可) | iPhone 8以降 | iPhone 8以降・iOS 16.0以降 |
Android | おサイフケータイ対応端末(一覧は公式サポート) | おサイフケータイ対応端末(Google ウォレット発行はAndroid 7.0以上) | おサイフケータイ対応端末(購入時Android 10.0以上) |
iPhoneでの発行 | ウォレットアプリ/Suicaアプリ | ウォレットアプリ/PASMOアプリ | ウォレットアプリ/ICOCAアプリ |
Androidでの発行 | モバイルSuicaアプリ/Google ウォレット | モバイルPASMOアプリ/Google ウォレット | ICOCAアプリのみ(Google ウォレット非対応) |
定期券 | アプリで購入(クレジットカード決済のみ) | アプリで購入(ウォレット発行分は継続のみ) | アプリで購入(ウォレット発行分は継続購入のみ) |
チャージ手段 | クレジットカード/現金(コンビニ・対応ATM等) | クレジットカード/現金(券売機・バス車内・コンビニ) | クレジットカード/現金(券売機・入金機・ATM等) |
オートチャージ | ビューカードの登録が必要 | PASMOアプリで申込み(作動エリアに制限) | 公式のチャージ案内に記載なし |
1台に複数枚 | iPhoneは複数枚可。Androidは端末タイプで異なる | Google ウォレットは1台1枚。Apple PayはSuica等との併用可 | 確認できず |
カード型からの移行 | iPhone・Androidとも可(大人用の一般カード) | iPhone・Androidとも可(Androidはアプリ使用開始時のみ) | iPhoneは可(TOICAも可)。Androidは不可 |
発行方法とカード型からの移行
3サービスとも、iPhoneならウォレットアプリだけで会員登録なしに新規発行できます。ただしJR西日本によると、Appleウォレットから発行したICOCAは会員登録がないため定期券は継続購入のみで、紛失時の再発行やポイントチャージも対象外です。定期券を使うなら最初からアプリで発行するほうが手戻りがありません。
カード型からの移行は、3サービスで扱いが分かれます。
- Suica:Apple PayのSuicaサポートによると、取り込めるのは大人用の一般的なSuicaカードで、残高19,501円以上のカードは不可です。Androidでは定期券は発行日から13か月以内なら取り込めます。
- PASMO:iPhoneでは無記名・大人用の記名PASMO・定期券を移行でき、デポジット相当額は残額にチャージされます。Androidでは「モバイルPASMOアプリの使用開始時に限り」移行でき、デポジット500円は窓口で返金されます。
- ICOCA:iPhoneではICOCA・ICOCA定期券・SMART ICOCA・TOICAを移行できます。AndroidのモバイルICOCAは手持ちのICOCAを「移行することや、同期することはできません」と明記しており、残高を使い切って払い戻すか、定期券の期限後にモバイルで新規購入する案内です。
移行したカードは使えなくなり、ID番号も変わるため、ポイントサービスなどは登録変更が必要です。
定期券とチャージ手段の違い
定期券はどのサービスもアプリから購入できます。モバイルSuicaは定期券やグリーン券が「クレジットカード決済のみ」です。PASMOはGoogle ウォレット経由だと継続購入のみで、新規購入はモバイルPASMOアプリが必要です。ICOCAは新幹線定期券(FREX・FREXパル)にも対応しています。
チャージはiPhoneならウォレットのクレジットカードから、Androidなら各アプリのクレジットカードからが基本で、現金チャージの対応機器は表のとおりです。上限額はPASMOとICOCAが残額とあわせて20,000円です。
オートチャージは差が大きい項目です。Suicaは「ビューカード(法人カードを除く)をSuicaアプリに登録」した場合のみ設定できます。PASMOはPASMOアプリで申し込み、初期設定は「残額2,000円以下のときに3,000円」で、PASMOエリアと一部のSuicaエリアの改札でのみ作動します。ICOCAは公式のチャージ案内にオートチャージの記載がありません。
Suica・PASMOのオートチャージは改札で残額を判定するしくみで、店やバスのIC運賃機では作動しません。手動でチャージする手順も覚えておくと安心です。
iPhoneとAndroidで使い始める流れ
iPhoneの場合
- iOSを最新にし、Apple Accountの2ファクタ認証を有効にします。
- ウォレットアプリの追加ボタンから「交通系ICカード」を選び、いずれかをタップします。
- 「新規カードを追加」で発行するか、「お手持ちのカードを追加」でカード型を移行します。
- 定期券やオートチャージを使うなら各サービスのアプリで会員登録します。
最初に追加した交通系ICカードはエクスプレスモードが自動でオンになり、認証なしで改札を通れるとAppleサポートにあります。複数枚入れてもエクスプレスモードにできるのは1枚だけで、1枚のカードを複数のデバイスに同時に入れることはできません。Apple Watchで使う場合はApple WatchでSuicaを使う手順をご覧ください。
Androidの場合
- おサイフケータイ対応端末かを確認します。ICOCAは購入時Android 10.0以上が条件です。
- SuicaとPASMOはGoogle ウォレットの「電子マネー」か各公式アプリから発行します。ICOCAはICOCAアプリでWESTER IDにログインし、クレジットカードを登録します。
- 定期券の新規購入やオートチャージは公式アプリ側の機能です。
Androidで気をつけたいのは複数枚の扱いです。モバイルSuicaサポートによると、端末は「Suica2枚以上とPASMO1枚まで」「SuicaかPASMOのどちらか1枚のみ」「Suicaのみ対応」の3タイプに分かれ、Google ウォレットでも1台に登録できるPASMOは1枚です。ウォッチで使いたい場合はPASMOをスマートウォッチで使う手順が参考になります。
まとめ
2026年9月時点で3サービスはいずれもiPhoneとAndroidで使えます。分かれるのは次の3点です。
- Androidの発行手段:SuicaとPASMOはGoogle ウォレットからも発行できますが、ICOCAはアプリのみです。
- カード型からの移行:iPhoneは3つとも可能ですが、AndroidのICOCAは移行できません。
- オートチャージ:Suicaはビューカード、PASMOはアプリでの申込みが条件で、ICOCAには案内がありません。
普段使う路線の事業者と、定期券・オートチャージを使うかで選べば迷いません。クレジットカードで改札を通る方法はクレジットカードのタッチ決済で改札を通る記事で整理しています。対応機種や移行条件は更新されるため、発行の直前に各サービスの公式ページを確認してください。