スマートウォッチを健康管理に使いたいと考えたとき、製品ページには心拍数、血中酸素、睡眠、心電図、血圧といった言葉が並びます。ただ、日々の記録として表示されるだけの項目と、日本で医療機器として扱われる機能が、1台の中に混ざっています。この記事では、2026年10月時点のApple・HUAWEI・Garminの公式情報と、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の公表情報をもとに、その違いと見分け方を整理します。
ウォッチ本体と機能ごとの扱いは別に決まっている
まず押さえておきたいのは、医療機器かどうかは「ウォッチ1台」ではなく「機能ごと」に決まる場合があることです。Apple公式サイトのApple Watchの製品ページには「Apple Watchは医療機器ではありません」と書かれています。一方、同じAppleのモデル比較ページでは、心電図アプリや不規則な心拍の通知などに、それぞれ販売名と「管理医療機器販売業者等:Apple Japan合同会社」の表記が添えられています(2026年10月時点)。
本体ではなく、特定のアプリやプログラムだけが医療機器として扱われている形です。反対に、HUAWEI WATCH D2のように、製品そのものが「ウェアラブル血圧計」として医療機器の認証を受けている例もあります。どの機能に医療機器の表記が付いているかを確かめるのが出発点になります。

日々の記録として表示される項目
多くのスマートウォッチが記録・表示するのは、心拍数、血中酸素、皮膚温、睡眠、ストレスといった項目です。Appleの比較ページの注記では、血中酸素ウェルネスアプリと、心拍数や呼吸数などをまとめて表示するバイタルアプリは「ウェルネスのみを目的とし、医療での使用を目的とするものではありません」とされ、皮膚温センサー機能も医療での使用を目的としないと書かれています(2026年10月時点)。
HUAWEI WATCH D2の製品ページでも、一日中の心拍数、24時間の血中酸素レベル、ストレスレベル、皮膚温度、毎日の歩数、睡眠中の心拍数・呼吸数などが記録項目に並びます。そのうえで、ワンタップで複数の指標を確認できるヘルスケアチェックの結果は「あくまで参考」であり、診断や治療の根拠には使えないと注記されています。睡眠の項目の詳しい読み方はスマートウォッチの睡眠記録で見られる項目と見方で扱っています。
同じ「心拍」に関わる機能でも、扱いは分かれます。Apple Watchの場合、心拍数の記録や高心拍数・低心拍数の通知は日々の記録の側にあり、不規則な心拍リズムの通知には医療機器としての販売名が付いています(2026年10月時点のApple比較ページによる)。項目の名前だけで判断せず、注記の表記まで読むのが確実です。
Apple Watchで医療機器の表記がある4つの機能
Appleのモデル比較ページで、販売名と管理医療機器販売業者等の表記が確認できたのは次の4つです(2026年10月時点)。
- 心電図アプリ(販売名:Appleの心電図アプリケーション):Series 4以降(SEモデルを除く)とすべてのUltraモデルで利用でき、第I誘導心電図に類似した心電図を作成します。22歳以上の使用が目的とされています。
- 不規則な心拍の通知(販売名:Appleの不規則な心拍の通知プログラム):22歳未満の使用を目的としたものではないとされています。
- 高血圧パターンの通知(販売名:Appleの高血圧パターンの通知プログラム):光電式容積脈波記録法で得たデータを分析し、高血圧を示唆するパターンを検出して通知する家庭用のプログラムです。高血圧と診断されたことがない22歳以上で、妊娠中でない人が対象です。血圧の数値を表示する機能ではありません。
- 睡眠時無呼吸の兆候の通知(販売名:Appleの睡眠時無呼吸の兆候の通知プログラム):Series 9以降、Ultra 2以降、SE 3で利用でき、睡眠時無呼吸と診断されたことがない18歳以上の人を対象に、中等度から重度の睡眠時無呼吸を示唆する兆候を検出します。
Appleサポートの心電図アプリのページには、血栓や脳卒中、高血圧、うっ血性心不全などは検知できないと書かれています。どのモデルでどの機能が使えるかは、Apple Watchの3系統を比べた記事で確認できます。
血圧を測る機能は医療機器の認証を受けた機種に限られる
手首で血圧の数値そのものを測るウォッチもあります。HUAWEI WATCH D2は、ファーウェイ・ジャパンのサポートページによると、販売名「HUAWEI WATCH D2 ウェアラブル血圧計」、一般的名称「自動電子血圧計」として2024年11月18日に認証を受けています(認証番号306AGBZI00008000)。製品ページでは、オシロメトリック法を採用し、バンド内の極薄のエアーカフと圧力センサーで測ると説明されています。同じ製品の心電図アプリは2024年12月17日に承認を受けており(承認番号30600BZI00035000)、心房細動の兆候の検出を補助的に行うもので、医師による診断に替わるものではないと書かれています。
注意したいのは、同じ血圧の機能の中でも範囲があることです。製品ページには「睡眠中の自動血圧測定機能に関しては、管理医療機器認証の範囲外です」と明記されています。また、手首周りが13.0cm未満または21.0cm以上の場合は測定の精度に影響が出ることがあるとされています(2026年10月時点)。
ここまでの内容を、記録項目と医療機器の扱いで整理すると次のようになります。
記録・通知の項目 | 医療機器の表記(2026年10月時点) |
心拍数・高低心拍数の通知 | Apple:表記なし |
血中酸素・皮膚温・バイタル | Apple:医療での使用を目的としない |
心電図 | Apple・HUAWEI:表記あり |
不規則な心拍の通知 | Apple:表記あり |
高血圧パターンの通知 | Apple:表記あり(数値は出さない) |
血圧の数値の測定 | HUAWEI:認証あり(睡眠中の自動測定は範囲外) |
睡眠時無呼吸の兆候の通知 | Apple:表記あり |
買う前に医療機器の機能を確かめる手順
候補のウォッチは、次の順で確かめると迷いにくくなります。
- 製品ページの注記を読む。 販売名や承認・認証番号がどの機能に付いているかを見ます。
- 対象者の条件を確かめる。 年齢や診断歴で対象が決まっている場合があります。
- 使える国や地域を確かめる。 Appleサポートのページには、心電図アプリや不規則な心拍の通知は一部の国や地域でしか利用できないとあります。
- 公表情報と照らし合わせる。 ファーウェイ・ジャパンのサポートページが案内しているように、認証を受けた品目はPMDAの「認証品目リスト」で確認できます。
Garminの公式サイトにも「心電図アプリ対応」という製品の分類があります(2026年10月時点)。医療機器としての位置づけは、各社の製品ページやマニュアルの表記で確かめてください。指に着ける製品も候補に入れているなら、健康管理リングとスマートウォッチの違いも参考になります。
医療機器の表記がある機能でも、結果だけで自分の体の状態を判断しないことが前提です。HUAWEI WATCH D2の製品ページは血圧測定と心電図の機能を「使用者の自己管理を目的として使用してください」としており、Appleも自覚症状があれば医師の診察を受けるよう案内しています。気になる結果が出たときは、記録を持って医療機関に相談する使い方が向いています。
まとめ
スマートウォッチの健康管理機能は、大きく2つに分かれます。心拍数、血中酸素、皮膚温、睡眠、歩数などは日々の記録として表示される項目で、医療での使用を目的としないと明記されているものもあります。心電図、不規則な心拍の通知、高血圧パターンの通知、睡眠時無呼吸の兆候の通知、手首での血圧測定は、2026年10月時点で公式に医療機器の表記がある機種や機能に限られます。
選ぶときは、記録したい項目に加えて、医療機器の表記がどの機能に付いているかと対象者の条件まで確かめてください。どちらも診断の代わりにはならないため、気になる結果があれば医師に相談してください。